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◆松竹衣裳

松竹衣裳 専務 海老沢孝浩さん

海老沢孝浩さん

「数十年携わっても氷山の一角。衣裳屋の生涯に一人前はありません」

 衣裳屋の仕事は想像しづらいかもしれませんが、着付けや手入れ、お直しまで様々な分野に精通した職人が集まる会社です。
ひと口に「歌舞伎の衣裳を用意する」と言っても、劇場による照明の違いや舞台での立ち位置、役者の年齢や役柄など、様々な要素を加味して柄や染めを施す必要が。たとえ同じ役者が同じ衣裳を着る場合でも、年齢と共に手の可動域や肩の位置が変わってくるため、そのつど縫製を変えなければいけません。
また、1枚の衣裳を長持ちさせることばかり考えていると、製作の機会が減り、腕のいい職人が減ってしまう。染め織りの伝統技術を絶やさないようにするのも、私たちの大切な仕事のひとつだと考えています。
 歌舞伎の衣裳を扱うのは当社だけです。着付けは勉強すればできるかもしれませんが、作るためのノウハウは口では伝えられない経験の積み重ね。歌舞伎400年の歴史を前に、数十年携わったところで氷山の一角です。生涯一人前はない覚悟で、一生勉強だと肝に銘じています。

歌舞伎を楽しむアドバイス

  • 歌舞伎で使う着物は、舞台に映える柄の大きさや染めで変化をつけていますが、実は一般の着物と作りは変わりません。しかし生地は昔ながらの手法で作られた“本物”を使いますので、演目と一緒に絹や紬など日本の上質な着物が持つ美しさもぜひお楽しみください。
 
  • プロフィール

    '58年川崎市生まれ。'78年松竹衣裳に入社。
    17代目市村羽左衛門、2代目尾上辰之助(現・4代目尾上松緑)を担当。現在は後進の育成や伝統文化の保存に努めている。
    趣味は大型バイクでのツーリング。自然の中で淹れたコーヒーを静かに飲むひと時は格別なのだとか。
  • 海老沢孝浩さん
 
企業紹介
  • 松竹衣裳
  • 歌舞伎や演劇、映画などに使われる、あらゆる衣裳や小道具の製作、貸出し、着付けを一手に引き受ける。縫製や染織、着付師など着物に関する様々な分野の専門家が集まり、役柄や用途、役者の要望に応じて最適の舞台衣裳を用意。手入れやお直しにまで対応する。
  • http://www.shochiku-costume.co.jp